REPORTレポート

Vol.12 コロナ後のまちづくり

2024.05.16

コロナで変わった暮らしと働き方
 2年以上続いたコロナも、ようやく落ち着く気配が見えてきました。ゴールデンウィークでは客足も戻りつつあったようです。ここで、コロナ後の世界について、まちづくりの観点から考えてみましょう。既に一昨年の5月には、国の専門家会議から「長丁場の対応を前提とした新たな生活様式を」との提言が出されています。今の状態を拒み、戦う姿勢を維持するのではなく、また、台風が過ぎるのをじっと待つのでもなく、今の状態を受け入れ、それを新しい生活様式として定着させることが大切、と言うことです。しかもそれは、起こる予定だった社会的・経済的変化が、コロナによって早いペースでの変化を余儀なくされただけ、とも言えます。  時代は大きく動き始めています。私たちは既に、新しい暮らし方、新しい働き方を始めています。まちづくりの分野でも、この変化がもたらすソフト・ハード両面での変化はとても大きいと考えています。

具体的に何が変わったか
【オンライン化】
買い物や働く現場、学びの場面でも、劇的なオンライン化・「家なか消費」が浸透しつつあります。これは、学校や職場のあり様に大きな変化をもたらし、その結果、私たちは、私たち自身の「暮らし」を中心に物事を考え始めることになりました。住む場所を選ぶにしても、学校や勤め先が近いから、といった理由ではなく、いかに暮らし易いか。そして、暮らしと仕事、学びの融合。それは「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、「ワーク・ライフ・ミックス」の社会です。
【ソーシャル・ディスタンス】
利便性を優先すれば仕方がない、と思っていた高層高密の社会から、ソーシャル・ディスタンスや外気を意識した環境が好まれ始めました。徒歩や自転車の利用で15分以内に行けるところに、生活に必要なあらゆるサービスを配置することが大切になってきます。そのために、まちなかには自動車の乗り入れを制限する、歩道と自転車道を広くとる、などの工夫が必要です。水戸市でも進められているコンパクトシティの政策を進めつつ、一極集中型の高層高密から多極分散型の低層低密の社会へ。
【地産地消】
原材料と人件費の安いところで製造し、それをより安く提供するのが当たり前でしたが、安全性を含め、大切なものは多少割高でも地産地消へ。グローバル経済から、地域が自立して連帯する地産地消中心型へ。さらに、都会の過密を減らして地方に人々が移住できる基盤を作り、そこに改めて各種産業を勃興させて特産物に。地域で流通消費できる体制を整え、災害にも耐えられるインフラを整備。今後世界は、自給自足と供給網の国内回帰、地元第一主義が進むのではないでしょうか。

私たちはどうするべきか
 多くの人は、ぼんやり考えていた未来のスタイルを、この2年の間に経験し、その新しいスタイルの良いところをしっかりと味わってしまいました。こうなると、コロナが去ろうと去るまいと、人々の暮らし振りや働き方、学び方は、今までとは違う方向に大きく舵を切るのは必然です。  従来、「大きいこと」「多いこと」「集積していること」はポジティブに評価されてきましたが、これからは高層高密集積型から低層低密分散型へ。人々の選択は、働く場所本位から暮らす場所本位へ。利便性第一で暮らしが犠牲にされてきた地域は嫌われます。  まちなかはどうでしょう。まちなかの危機は、コロナによって加速されました。徹底的にネットで済むことはネットで。時間を掛けてわざわざ行くだけの価値のある、手づくり感・手触り感のあるお店のみが生き残る。そんな時代の到来です。ここは現状維持とか原状回復とかは考えずに、抜本的に世の中が変わると覚悟して、今起きつつある変化をよく活用して行動することが大切です。  都心からある程度離れていて、一方で快適な暮らしが可能、という条件の揃っている水戸は、このピンチをチャンスに変えることが出来るかも知れません。

この記事を書いた人

三上靖彦

1959年水戸市生まれ。水戸第一高等学校、筑波大学第一学群自然学類、筑波大学大学院修士課程環境科学研究科を経て、さまざまな街づくりに携わる。現在では株式会社まちみとラボ代表を務め、水戸の歴史と文化、芸術を活用して、水戸のまちに新たな価値を創造し続けている。

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