REPORTレポート

Vol.10 裏通りからのまちづくり

2024.05.16

裏通りの環境整備
 水戸のまちなかの大通り沿道には魅力的な物件があるものの、地価が低下している割に家賃が高止まりしていて、新規創業者の出店を阻んでいます。一方、裏通りエリアでは家賃は比較的低いけれど、道路の整備状況が悪く、また空き地や空き店舗も多いことから、新規出店者にとって魅力的とは言えません。その様な状況を踏まえ、まちみとラボ設立当初より、裏通りエリアの環境改善の方向性やビジョンづくりについて「地域の方々と取り組むことが出来ないか」と考えていました。  その意味で、都市再生推進法人の指定を水戸市から受けた直後の平成31年1月末、御茶ノ水ソラシティにて開催された、国土交通省主催の「官民ボーダーレスまちづくりミーティング(都市再生推進法人等会議)」に参加しました。その中で、民間の担い手が主体的に進める社会実験・実証事業や普及啓発事業などに対し、国が直接支援する「民間まちづくり活動促進事業」についての紹介がありました。早速、裏通りの環境整備についての考えを提案書として取りまとめ、エントリーしました。すると、有識者会議により「多様な関係者を巻き込む実際の課題解決を図るワークショップ事業など普及啓発効果が高いと思われる提案」として、全国7提案の一つに選定され、4月にその内定通知を、また6月には補助金の交付決定通知を頂きました。

裡(うち)ミトづくり勉強会
 現地調査や各種準備・調整の後、10月に黒澤理事長をはじめとする南町2丁目商店街振興組合の若手の方々とともに「裡ミトづくり勉強会」を立ち上げ、月2回ほどのペースで勉強会やワークショップを開催し、裏通りエリア内の空き店舗や空き地の使い方、裏通りのあり方、環境改善の方向性等を議論しました。そして、その方向性をエリアの将来ビジョンとして取りまとめました。

将来のビジョン
 将来ビジョンでは、大通りのイメージとしては、かつて水戸商工会議所のまちづくり委員会が示した、歩行者や自転車、公共交通機関のそれぞれが快適に利用できる空間づくりのアイデアもとに、車道や歩道の新しい使い方を提案しました。休日は歩行者天国にし、イベントや市場でにぎわいを回復します。  裏通りの改善イメージとして、建物の1階部分のセットバックによる沿道民間敷地と道路の一体的活用や、駐車場の集約と「まちなか公園」化、さらには大通りと裏通りを繋ぐ通路(平成4年に「街かどルネッサンス事業」で整備された通路)のリメイクや、本来は地域の多くの方々が集まり自由に活用する目的で整備された西洋倶楽部ビル1階部分の空間活用、また屋上緑化や壁面緑化等を提案しました。  今後、ビジョンのさらなるバージョンアップとともに、その具体化のためには裏通りのコミュニティ道路化や、商店街を中心とするエリアでの「都市利便増進協定」等の締結に向けた機運醸成が必要です。商店街の方々との勉強会を重ね、ビジョンの実現に結び付けたい、と考えました。

じわりじわりと通りを元気に
 まずは裏通りエリアを元気にし、じわりじわりと大通りの元気に繋げ、水戸のまちなか全体の活性化に繋げることができれば、と言う作戦です。この考えが、その後の『水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会』の設立につながります。

この記事を書いた人

三上靖彦

1959年水戸市生まれ。水戸第一高等学校、筑波大学第一学群自然学類、筑波大学大学院修士課程環境科学研究科を経て、さまざまな街づくりに携わる。現在では株式会社まちみとラボ代表を務め、水戸の歴史と文化、芸術を活用して、水戸のまちに新たな価値を創造し続けている。

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