REPORTレポート

Vol.8 『まちみとラボ』の発足の経緯

2024.05.16

水戸市中心市街地活性化協議会
 これまで、まちづくりに関わる様々な事業に取り組んできましたが、それらは、どちらかと言うと単発的で、期間限定的な取り組みが主でした。その一方で、息の長い、しかもうまくいくか分からない重いテーマ、「水戸のまちなか再生」にも取り組んできました。既に紹介したように、私が代表を務めるNPO「茨城の暮らしと景観を考える会」と水戸商工会議所は、平成20年10月に水戸市中心市街地活性化協議会を共同設置しました。これが水戸のまちなか再生に本格的に取り組むスタートでした。

市役所との関係性の改善
 協議会設立当時は、主体性の低さが原因で、水戸市との折り合いが良くありませんでした。そんな中で発生したのが、平成23年3月の東日本大震災。震災は時代を加速させる。まちなかの衰退は待ったなし。水戸商工会議所とともに、中心市街地と新市庁舎問題について議論、水戸市へ提案しました。このような活動を通し、市役所との関係性は大いに改善されました。また、より効果的な事業展開に向け、まちなかの若手を中心とした新しい専門部会構成を実現、活発な議論が行われるようになりました。その結果、平成26年に水戸市が策定した中心市街地活性化ビジョンに、協議会としての意見の多くが取り入れられ、また翌27年の中心市街地活性化基本計画には、各専門部会から74事業を提案、最終的に38事業が採用されました。その中で「まちづくり会社の設立」についても取り上げられ、翌28年の春、内閣府は「まちづくり会社の設立」を条件に、水戸市中心市街地活性化基本計画の総理大臣認定を決めました。

新しい街づくり会社の必要性
 実は平成27年5月から水戸商工会議所の前会頭・和田祐之介さんとともに、新しいまちづくり会社の組織や事業内容について、検討を始めていました。水戸のまちなか再生には、言うだけ、提案するだけ、ではなく、責任ある事業主体としての新しいまちづくり会社の必要性を強く感じていたからです。社会起業家・木下斉さんの著書『稼ぐまちが地方を変える』は大いに参考になりました。また、平成27年暮れに開催されたリノベーションまちづくりの旗手・島田洋平さんと大島芳彦さんの講演は衝撃的でした。人口縮退時代のまちづくりの方向性について、目の覚めるような「光」を見ました。平成28年の年明け早々、彼らが主催するまちづくり講座に申し込み、毎週水曜日に銀座線の末広町まで出掛け、7月までの間に90分講義を50本くらい聴きました。都市問題から会社づくり、個別事業の組み立てや運営に到るまで、そのエッセンスの全てを新会社に注ぎ込むことにしました。

水戸の新しいまちづくり会社 『まちみとラボ』が発足
 並行して仲間探しも進めました。馬場正尊さんの著書『エリアリノベーション』を参考に、外部との連携を重視しつつ、コアの部分だけを押さえる。水戸の若者たちと主体的にイベントを展開している『Mito kawaii project』代表の石田典惣さんと、グラフィックデザイナーで『あおぞらクラフト市』を主宰する甲高美徳さんが賛同してくれました。  水戸商工会議所でも議論いただき、会議所としての出資も決まりました。スタートアップ資金の確保も重要です。「地方創生推進交付金」へのエントリーについて、水戸市の政策審議室や商工課の方々との協議も始めました。  10月には和田前会頭のご自宅で発起人会議を開催、社名はいくつかの案の中から、和田前会頭夫人の美恵子さん(故人)に選んで頂きました。そして11月1日、水戸の新しいまちづくり会社『まちみとラボ』が発足、12月には地方創生推進交付金の採択も決まり、12月8日に水戸のまちなかが一望できる京成百貨店9階の特別食堂にて、設立記念祝賀パーティを開催しました。

この記事を書いた人

三上靖彦

1959年水戸市生まれ。水戸第一高等学校、筑波大学第一学群自然学類、筑波大学大学院修士課程環境科学研究科を経て、さまざまな街づくりに携わる。現在では株式会社まちみとラボ代表を務め、水戸の歴史と文化、芸術を活用して、水戸のまちに新たな価値を創造し続けている。

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