REPORTレポート

Vol.7 プロジェクトチームで歴的的景観形成を

2024.05.16

水戸三高の白壁プロジェクト
 桜田門外ノ変に関連する事業(ぷらざ5月号で紹介)も落ち着いてきた平成26年6月、水戸三高の白壁プロジェクトが始まりました。当時、水戸城跡周辺地区では三の丸小や水戸二中の外柵が白壁塀に改修され、正門も歴史を感じさせる素晴らしいものになっていました。一方、水戸二中の反対側にある水戸三高と付属小学校・幼稚園の外塀は、コンクリートの擁壁と金属柵でした。茨城県教育委員会としても、水戸市と歩調を合わせ、県立水戸三高の外柵を武家屋敷風の意匠を凝らした白壁塀に、また擁壁も石垣風に改修することとし、プロポーザルにて事業者を選定することになりました。  幼稚園から小学校、中学校、高校まで水戸城の中で学び育った私にとって、これはやりがいのある事業です。また、県から景観整備機構に指定されているNPOにふさわしい事業でもあります。ぜひ、歴史的景観まちづくりに貢献したいと考え、NPOとしてプロポーザルを提出。7月に県より事業者としての選定通知が届き、2ヶ年で水戸三高の外塀や北門を整備することとなりました。

ユニークなスキーム
 この事業は面白いスキームで、①まず県が、水戸城跡地区の景観を良くするための事業者を募集、選定、10年契約で土地を無償で貸与。②次いでNPOが手を挙げ、事業者に選定されると歴史的景観形成を進めるために県から借りた土地の上に白壁や門を造ることを水戸市に提案。③そして水戸市は、水戸城跡地区の景観を良くする事業者に対し、補助金を用意する。④一方国は、市が行う事業に交付金を用意。併せて茨城県も、市が援助するなら県も市を援助。  8月に茨城県と協定を締結、10月には用地賃貸借契約締結、同時に水戸市へ補助金交付申請。そして11月に工事発注。26年度は水戸三高の東側、つまり水戸一高側の白壁塀を整備。白壁塀はコンクリート造りですが、表面に漆喰を塗って真っ白にし、屋根には瓦を載せます。石垣風擁壁は、職人さんがノミとハンマーで御影石を加工し貼り込みます。27年度は北側・水戸二中側の白壁塀と石垣風擁壁、そして高さ4m近い高麗門(北門)を設置。屋根の部分は綺麗な檜、柱はどっしりとした欅。  完成は28年3月。これにより水戸城の三の丸から二の丸、本丸にかけては、美しい歴史的景観に生まれ変わりました。完成式典を挙行し、見所スポット満載の散策マップも制作しました。  現在では、大手門や二の丸角櫓も復元され、弘道館・水戸城跡周辺地の歴史的景観形成事業は完結。

継続することがとても大事
 さて、NPO等を運営していて大変なのは「続けること」。最初は集まった人の熱量が高く、様々な取組がなされますが、冷めてくるとそうはいきません。経費節減で常駐スタッフも置けません。そこが「仕事」としての会社と、「趣味」の延長と見做され勝ちなNPOの違いで、継続的な活動を困難にしています。  そこで、この事業はもちろん、すでに紹介させて頂いたオセロやセントラルビル、桜田門外ノ変に関連する事業も、プロジェクト制による運営方式を採っています。プロジェクトとは、予算・工期・メンバーが定まっているもの。事業資金についてはNPO等が責任を持って調達し、プロジェクト成功のために必要な人材は、広く内外から募ります。こうすれば人材を抱え込む必要もありませんし、臨機応変な対応が可能です。白壁プロジェクトも、県、水戸市、工務店、設計事務所とチームを作って取り組みました。そんな柔軟性も、非営利活動の面白いところです。

この記事を書いた人

三上靖彦

1959年水戸市生まれ。水戸第一高等学校、筑波大学第一学群自然学類、筑波大学大学院修士課程環境科学研究科を経て、さまざまな街づくりに携わる。現在では株式会社まちみとラボ代表を務め、水戸の歴史と文化、芸術を活用して、水戸のまちに新たな価値を創造し続けている。

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