REPORTレポート

Vol.21 水戸まちなかデザイン会議

2024.05.16

 まちなか再生に向けた社会実験を実施するにあたり、私たちはオープンプラットフォーム、つまりは誰でも参加できる「水戸まちなかデザイン会議」を開設しました。ビジョン「挑戦心を育む、コンパクトなまちなか暮らしを取り戻す」に共感し、水戸のまちなか再生に自分事として取り組もうとする人たちの集まりです。「居心地が良く歩きたくなるまちなか」をキーワードに、これからの水戸まちなかのあり方や、そこでのライフスタイルについて議論し、実践します。

デザイン会議での約束事
 誰でも参加OKですので、デザイン会議を始めるにあたって、会議体としての約束事・マナーを決めました。一つは、まちなか再生は個人戦ではなく団体戦ですので、チームワークが大切です。スピード感や実験内容以上に、誰とやるか、を大切にします。二つ目は、互いを尊重した関係づくり。否定しないこと。上から目線はダメ。パブリックマインドを持ったフラットな関係を大切にします。誰の発案かは問題ではなく、良いアイデアはチームで共有します。そして三つ目は、若手中心の運営・進行。将来を担う若手が主役で、彼らの自由な発想を大切にします。年長組は陰でバックアップ、温かい目で見守ること。  令和3年5月、南町二丁目商店街振興組合の「南2商店会館」に、高校生や大学生、市役所や商工会議所、そして大学や民間から、水戸のまちなか再生に熱い想いを持った志の高いメンバーが集まりました。約束事・マナーを皆で共有した上で、デザイン会議がスタートしました。

「人」「場」「仕組み」「アクション」
 ビジョンにある「挑戦心を育む」。そのためには、まず「人」が集い、「場」が用意され、「仕組み」で支え、「アクション」に繋げることが大切です。デザイン会議は、この「挑戦心を育むサイクル」をモデル的に実践してみる場でもあります。  集まった「人」たちで、まずは「場づくり」について議論しました。「どこに、どのような」場があったら居心地が良いのか。まち歩きとワークショップで検討しました。屋外空間活用の専門家のお話も聞きました。実験会場のお掃除ワークショップや、机や椅子の会場設営、人工芝の張り付け、そして運営も皆で行いました。もちろん、実験後の後片付けも。手作り感満載です。  続いて、場を使いたくなる「仕組み」。場を使いやすくするための支援、後押しです。外出や回遊性を促進するグリスロの試走、駐輪場の設置、オリジナルグッズやサイネージによる取り組みのPRなどを実験に組み込みました。車道や歩道、公園の利活用の許認可については、水戸市役所の方々にご尽力頂きました。沿道に立地するビルオーナーの方々にもビジョンや実験内容に共感頂き、実験の際には、それぞれの「場」を提供頂けることとなりました。さらに南町二丁目商店街振興組合からは、資金面での支援を頂戴しました。皆、デザイン会議のメンバーです。  そして、場を活用する「アクション」。用意された場を「日常の中でどのように活用すると楽しいのか」。デザイン会議のメンバーを中心に、令和3年度には15件、4年度には10件の自主的な素晴らしい活用策が提示され、実験期間中に「まちなかチャレンジ」として実践されました。  デザイン会議は、令和3年度には12回、4年度には7回、そして5年度は既に3回実施されています。各種SNS等でご案内していますので、皆さんもぜひ、水戸のまちなかを元気にする取り組みに参加しましょう!

この記事を書いた人

三上晴彦

1959年水戸市生まれ。水戸第一高等学校、筑波大学第一学群自然学類、筑波大学大学院修士課程環境科学研究科を経て、さまざまな街づくりに携わる。現在では株式会社まちみとラボ代表を務め、水戸の歴史と文化、芸術を活用して、水戸のまちに新たな価値を創造し続けている。

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