REPORTレポート

水戸で迎える旧正月

2022.01.28

《 ベトナム 》
レ・ヴァン・タンさん
ベトナム南部、内陸のラムドン省出身。2019年にベトナム料理店123 Dzô(モッハイバーヨー、ベトナム語で「1、2、3、乾杯!」を意味する)を白梅にオープン。茨城県ベトナム人協会の設立に携わるなど茨城在住のベトナム人支援や日本との交流活動にも力を注ぐ。茨城は「第二のふるさと」で、好きな場所は大洗の海や那珂湊の魚市場、牛久大仏など。1月1日の初もうでは毎年笠間稲荷に行く。 ベトナムの旧正月
Tết nguyên đán
(テットグエンダン)
陰暦12月26日または27日より旧正月休みとなり、大掃除をします。年が明けてから掃除をすると運気が悪くなるとされ、必ず旧年中に終わらせなければいけません! お正月の料理も旧年中に作ります。もち米の中に豚肉や緑豆などを詰めてジョンの葉(Lá dong)で包んでゆでる、ちまきのような料理が代表的な料理です。この料理を、ベトナム中部から南では細長い形に作り、「バインテット」、北部では四角い「バインチュン」と呼んでいます。
新年になったら新しい服に着替え先祖を祭る、家の中の祭壇に料理をお供えします。祭壇からあふれるくらいお供えするのが縁起が良いとされます。その後は家族でお寺へ行き、おじいさんやおばあさんの家を訪ねます。新年の街は北部では桃の花、南部では黄色いマイの花で飾られて鮮やかです。正月は旧暦1月7日から10日くらいまで2週間ほどお休みになるので、4日あたりから旅行に行く人も多くみられます。旧正月は、日本ではだいたい平日なので学校や仕事で過ごしてきました。でも、在住ベトナム人仲間とパーティーをしたり、店のスタッフにプレゼントをあげたりします。2020年の旧正月は店でお客さんと一緒にバインチュンづくりのイベントをしました。今年は1月29日から2月6日まで、来店のお客様全員にお年玉くじのプレゼントをいたします。

123 Dzôの情報はこちら
https://plamito.com/detail/359/

  • 20年にお客さんと作った
    旧正月の料理バインチュン
  • ベトナム中南部で新年に飾るマイの花
  • 初詣する人でいっぱいのベトナムのお寺

《 中国 》
王偉亜さん
中国・上海市出身。1990年に茨城大学に留学し、水戸市役所の通訳・翻訳アルバイトなどを経験して市の国際交流協会に勤務する。中国・重慶市との友好交流都市提携の締結などに尽力。現在は事務局長を務める。ふるさとの大都会上海と好対照な自然が好き。花貫渓谷から五浦海岸へのドライブ、里美牧場、竜神大吊橋など県北の風景を愛している。 中国の旧正月
春節(しゅんせつ)
広い中国ですが、旧暦の大みそか、除夕(じょせき)の夜に一家揃って年越しのごちそうを食べるのは変わりません。このごちそうを年夜飯といいます。昔は自宅で作りましたが、近年は外食が増えましたね。
昔、私の家の年夜飯には卵を使った黄色い餃子、「蛋餃」が必ず出ました。色と形が昔のお金に似ていて縁起が良いとされたんですね。また、「毎年どんどん余裕が生まれるように」と願って「年年有余」と新年のあいさつをします。「魚」の中国語音は「余」と同じなので、魚料理も大みそかの食卓には欠かせません。沿岸部が少ないので、ソウギョなどの淡水魚が醤油煮込みや鉄板焼きで食卓に上ります。重慶では辛い火鍋を食べたりします。
新年を迎える家は、対聯(ついれん・たいれん)と呼ばれる、めでたい文句を記した対になる紙や布を掛けます。除夕と旧暦1月1日は家族で過ごし、2日からは、親戚や友人を年長者から順に訪ねる年始回りです。旧正月に上海へ帰ったことはほとんどありません。日本の仕事と休みが合わない年が多く、航空券も高いからです。でも、コロナ前は茨城在住の友人と集まって旧正月を祝っていましたし、休暇や仕事で年に4回ほどは中国に帰っていました。早く海外との行き来が自由になってほしいと思います。

水戸市国際交流協会の情報はこちら
https://plamito.com/detail/346/

  • 昔のお金に似ている?
    上海で食べる蛋餃
  • 旧正月にも食べる重慶の代表的な料理、
    重慶火鍋
  • 親戚が集まる旧正月の風景。
    絵の上に貼られているのが対聯

《 韓国 》
朴美貞さん
韓国・ソウル市生まれ、釜山市育ち。韓国で大学講師として勤務。その後、筑波大学の院にて育児をしながら学び、博士号を取得。茨城で暮らして32年間、一貫して茨城と韓国、相互の魅力PRに努め、茨城空港と韓国を結ぶチャーター便と定期便就航のために活躍して成功させる。県内全域の名所を回り、熟知しているいばらき観光マイスター。 韓国の旧正月
설날(ソルラル)
韓国のお正月は、祖先を祭る祭事、チャレを取り仕切る、一族の当主の男子の家に親戚が集まるところから始まります。旧暦の年明けの2、3日前に当主の家に行き、女性達は大みそかまで料理を作り続けるので大変です!私もお義父さん、お義母さんに呼ばれたら日本の仕事を休んで旦那の実家に行ったものです(笑)。
旧暦1月1日の朝起きたらチャレをし、晴れ着に着替えて年長者に対して新年のあいさつを述べます。これをセベと呼び、小さな子供はお年玉(セベッドン)をもらいます。子どもが成長すれば親にお年玉をあげる習慣もあります。その後、正月のごちそうを食べます。丸くて平たいお餅で作るお雑煮ドックッや、餃子入りスープのマンドゥック、ジョン(チヂミ)チャプチェ(春雨料理)、カルビチム(カルビと野菜の煮物)などです。シナモン茶のスジョングァや甘酒のシッケなども食卓に上がります。
食後には凧揚げ、ユンノリ(韓国すごろく)、ペンイドルリギ(こま回し)などの遊びをして過ごします。昔は新年の飾りとして、米を研ぐざるを模したポクチョリを部屋に掛けましたが、最近では少なくなっていますね。
新年の過ごし方に、都市による地域差はほとんどありません。今年の旧正月は平日ですし、コロナもあるので私は韓国にいる親族や友人にお祝いの電話をしたりメッセージを送ったりで祝います。

  • 一族の年長者に対して新年を祝う
    セベの様子
  • お嫁さんたちが寝る間を惜しんで作る
    旧正月の料理
  • 「米のようにざるに福を盛る」という
    意味を込めた新年飾りポクチョリ

この記事を書いた人

ぷらっとみと編集部

生まれ育った街、住み慣れた街にも、まだ知らない魅力的な場所はたくさんです! 県央を中心に、魅力に満ちた茨城のスポットを読者の皆さんにお知らせするため、がんばります。

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